
1.粉瘤とは
粉瘤(アテローム)は、皮膚の下に袋状の構造(嚢胞:のうほう)ができて、そこに角質(皮膚の表面の垢)や皮脂などがたまることで形成される良性腫瘍です。
2.粉瘤の原因、好発部位
粉瘤の原因は以下のように考えられています。
毛穴の詰まりや傷により、皮膚の一部(表皮)が皮膚の内側に入り込む
▼入り込んだ表皮細胞が角質や皮脂を作り続け、袋状にたまる
▼それが次第に大きくなってしこりになる
粉瘤ができやすいところは、顔・首・背中・耳の後ろ・胸・お尻など皮脂腺の多いところです。
3.症状
- しこり:やや硬く、皮膚の下にある丸い塊
- 中心に黒い点(開口部):皮膚の表面に小さな穴があることが多い
- 臭いドロッとした内容物:白や黄色の粘り気のある物質(角質・皮脂)
- 炎症・痛み(化膿した場合):赤く腫れて熱を持ち、痛みを伴う(炎症性粉瘤)
4.炎症性粉瘤とは
粉瘤が細菌感染などで化膿すると「炎症性粉瘤」となり、以下のような状態になります。
- 急激に腫れる
- 強い痛み
- 赤く熱を持つ
- 内容物が自然に破れて出てくることも
この場合、抗生物質や切開排膿処置が必要になります。
5.治療法
非炎症性粉瘤
根治するには手術が必要です。
局所麻酔で嚢胞を完全に摘出します。当日手術も可能です。
炎症性粉瘤
まず炎症を抑えてから摘出します。
抗生物質の内服または膿がたまっていれば切開して排膿します。
炎症が落ち着いてから手術を行います。
6.注意点
- 自然に小さくなることは少ない
- 内容物を無理に絞ると炎症や感染の原因になる
- 市販薬で治すのは難しく、再発することが多い
7.いつ病院へいくべきか?
- しこりが大きくなってきた
- 赤く腫れてきた
- 痛みや熱感がある
- 繰り返し同じ場所にできる
このような場合は皮膚科を受診しましょう。